岡村有紗さんは、2022年度の未踏ジュニア修了生。金尾真樹斗さんと2人でチームを組み「Noxicel - 英作文とAIを用いた英単語学習アプリ」というプロジェクトに取り組みました。本ページでは当時の様子について伺った話をまとめています。
作りたいものが
湧き出てくる
──未踏ジュニアに応募する前は、どんなことをされていましたか?
岡村さん:
もともと小学5年生ぐらいからソフトウェア開発をしていました。指定した場所へ行くと通知を鳴らしてくれるTODOアプリや、立方体の切断という数学の問題を視覚的に理解するためのアプリなどを作りました。
位置情報を使って、指定した場所で通知を鳴らしてくれるTODOアプリは、私がタスクを完全に忘れてしまっても大丈夫なんじゃないかと思って作ってみました。
中学受験によく出てくる立方体の切断という問題があるのですが、視覚的に理解したくても、自前で立体を用意して毎回切るみたいなのがなかなかできないので。それをUnityで再現したら無限に練習できて、めちゃくちゃいいじゃないですか。
そういう感じで、何か作ってみたいものが、生活していて割と頻繁に、すごく湧き出てくるタイプだったので、未踏ジュニアに応募する前から、作りたいものを作るのが習慣になっていました。
勢いで提案書を書き、
ノリで応募
──未踏に応募された経緯は?
岡村さん:
未踏ジュニアのことを知ったのは、応募する前年の秋ごろやったと思います。確かTwitterか何かで、ちらっと話が出てきて、面白そうと思ったのを覚えています。
ただ、そのときはあまり深くは考えてなくて、私の性格上、提案するためだけに何か考えるっていうのも、こう、ちょっと癪じゃないですか(笑)。なので、何か思いついて、それっぽいのがあったらでいいやと、そのときは思っていたんです。
すると私の誕生日の前日に、ふと急に、前から考えていた「英単語をどうにかして良い感じに覚えやすくしたい」というのを、生成AIをいい感じに使えば何か作れるんじゃないかというモチベーションが上がってきて。
その詳細を考えているうちに、そういえば未踏ジュニアに合いそうやなと思って、次の日に勢いで提案書を書いたら大枠ができてしまったので、おお、じゃあやるかと思って。
別に応募して通らなかったとしても応募しとけば得やろ、ぐらいのノリで申し込みました。
──金尾さんと一緒にやることになった経緯は?
岡村さん:
私自身、作りたいものが先行してあって、そこで必要となる新しい技術をどうにか埋め合わせる、みたいな形で活動していました。
でも今回作りたいのはWebアプリやったんですけど、そのWebアプリ、Web開発のまともな経験があまりにもなさすぎるということで、これは人を募集しなければいけないと思い立ったわけなんです。
何でか分からないんですけど、たまたま(とある)Discordサーバを見ていたら、ちょうどいいときに、(相方となる金尾さんが)「Webのバックエンドで、何かこういうプロジェクトをやっていて、今、暇なの面白そうなことがあったら誘ってください」と書かれてたので、お声掛けしたら「いいですよ」と言っていただけました。
──すごい偶然ですね。もし、そのとき一緒にやる人が見つからなかったら、1人でやるつもりでした?
岡村さん:
そうですね。何か未踏ジュニアに関しては、結構、自分でもビックリするぐらい楽観的で、何とかなるやろ、みたいなのをずっと思ってました。
初めてづくしで楽しかった
──未踏ジュニアを実際にやってみて、どうでしたか? 大変でしたか?
岡村さん:
大変だった記憶があんまりないですね。
振り返ってみると、今の自分の、技術関係の人間関係は、未踏ジュニアが大きなその礎になっているというか。
もともとは、1人でボソボソとやっていたのが、未踏ジュニアをやってから、急にこう、いろんな方とお話できるようになったりして、情報科学が好きなお友だちみたいなのが急に増えて、すごい楽しかったです。
他の人をお誘いして一緒に開発するっていうのも初めてでしたし、いろんな初めてとか、これができた、あれができたがあって、すごく楽しかったなというのが、今振り返ってもあります。
──未踏ジュニアをやっている期間で、最大のピンチだった瞬間はありましたか?
岡村さん:
成果発表会当日、リハーサルのときにバグ修正してたことです。リハーサルが終わって、そろそろ本番が始まるぐらいのところで、やっとそのデモが見せられる状態にまでなったので、その最後の30分ぐらいは、割とピンチでしたね。
──逆に、最高に幸せを感じた瞬間は?
岡村さん:
もう、それこそ、見せられるデモができあがったときとか。
あと、最初に、アルファテストの募集をしたときのことも、まだ覚えてます。1カ月ぐらいかけてやるような、結構重めのテストで、人が集まるかどうかも分からないような感じだったんです。
(でも蓋を開けてみたら)逆に集まりすぎて、こちらでお願いする人を選ばないといけないみたいな感じになるぐらい、協力するよと言ってくださる方がいて、そのときは、すごく嬉しかったです。
将来への道が
情報系に固まった
──未踏ジュニアを経験して、ご自身に変化はありましたか?
岡村さん:
意識が、本当に変わったなと思います。
やる前までは、どちらかというと、1人で黙々やるものみたいなイメージがありました。小さいころから、いろんな習い事をやってたので、(ソフトウェア開発も)その中の1つみたいな、そんな感覚があったんですが、未踏ジュニアを経験した今は、みんなでわいわいプログラミングできるし、技術の話をしていても楽しいみたいな。
楽しく他の人と技術の話ができるみたいな空間が生まれて、すごくびっくりしました。
初めて、自分の好きな技術を実際に仕事にして生きてる人たちのお話を伺えたりして、将来への道が、情報系に固まっていった気がします。
そして、コミュニティもそうなんですけど、自分の開発体制も結構変わったなと思っていて。
前までは、2年間かけて1つのアプリが前に進めへんみたいな感じでしたが、モチベーションとして締め切りを設定し、たとえば未踏ジュニアだった11月までにいったん作って、その後に、もう1回また目標を設定するみたいな。
そうやって段階を踏むっていうのが、開発のモチベーションを保ったり、実際に開発を前に進める上で、すごい大事なんやなっていうのが分かりました。なので今はもう、毎年、未踏ジュニアを1人でやるみたいな感じになってます。
同じ熱意の友だちが増える
──この未踏ジュニアを、これからの人たちにお勧めするとしたら、どんな風に勧めますか?
岡村さん:
プログラミングって、お友だちも増えるし良いよ、って感じですかね(笑)。
プログラミングは団体戦じゃないので、周りに人がいなければ、めちゃくちゃ孤独になってしまうと思うんですよね。
(それまでは)そこにコミュニティがあるっていう認識をしてなかったんですけど、同年代で、同じぐらいモノづくりとか、自分が作りたい、自分が熱意を持ってみんなに見せたいものがある人たちって、学校とかだと周りにいないケースも多いのではないかと思っていて。私が割とそうだったので。
(未踏ジュニアなら)そういう人たちと近くなれるというのは、自分も、モノづくりとか開発とかがもっと好きになると思うし、それで、新しいことを知るとか、視野が広がるみたいなこともあったりとか。
自分の触ってみたい分野が広がると、すごい楽しいので、友だち作りに、ぜひ(笑)。
──応募をためらう人には、何と声をかけますか?
岡村さん:
心積もりとしては、
未踏ジュニアでは、応募するときに、各メンターさんが「こういうものを探しています」みたいな、ひと言コメントを載せてくださっているんですよね。それが、すごく心の支えになりました。
このプロジェクトを自分でやりたいというのは、自分が一番知っているので、あとは、伝え方次第かなと。
最悪、落とされるだけやし(笑)。
デジタルな技術を
社会に溶け込ませたい
──今後やりたいことや、夢として持っていることはありますか?
岡村さん:
未踏ジュニアで開発した英単語学習アプリとか、(以前に作った)位置情報を利用したTODOアプリとかでもそうなのですが、すでにあるやり方に、デジタルな部分を入れてあげると、めちゃくちゃ進化するんじゃないかと思っていて。
そういうのが、どこまでできるかというか、どこまでデジタルとアナログを融合させることによっていろんなものを進化できるか、みたいなことを考えています。
アナログとデジタルの融合であったりとか、デジタルな技術を、社会に溶け込むような感じで社会実装するか、(それを)どれだけスムーズにできるかみたいなのに今はすごく興味があって、それを今後もやっていけたらいいなと思っています。